公益社団法人武蔵野青年会議所 2018年度 理事長所信

第47代理事長 佐々木 大輔

 ■はじめに

 近年の日本は、地震や温暖化を起因とする異常気象などによる大規模な災害や、諸外国からの脅威、先の見えぬ混沌とした経済、少子高齢社会など多岐にわたる難題を抱えています。 このような時代だからこそ、私たち青年が先頭を切って乗り越えて行かなくてはなりません。青年会議所の掲げる理念「明るい豊かな社会の実現」は、長い青年会議所の歴史の中で先輩諸兄が懸命につないでこられた不変の精神であります。次世代を担う青年として、青年会議所運動を通じて成長し、次世代社会をリードするにふさわしい人財を数多く輩出することこそがこの理念を実現する道であると確信します。

 今、武蔵野青年会議所は、入会して間もないメンバーが大勢を占めています。これは経験豊かな世代の多かった時代から、急激に新しい世代へと移り変わった時代の流れであり、武蔵野青年会議所だけではなく全国的にみられる傾向です。青年会議所は個人の自立性と社会の公共性のより強く、より高いバランスを求めていかなくてはなりません。より優れた運動を発信するために、今私たちは、個人の成長を図る時期なのです。

 青年会議所はまちづくりを通じてひとづくりをする団体です。まちづくりは事業を通じて運動発信がなされますが、人は他人から言われて行動しても成長しません。自らが前に踏み出さなくてはならないのです。踏み出すということは、よく考え、物事の達成に向けてあらゆる事を想像します。達成したいという思いが強ければ強いほど自ら率先して考えるであろうし、行動するはずです。この達成に向けたひとつひとつの事象の積み重ねが自らの血となり肉となり成長へとつながるのです。私自身、入会して10年目を迎えました。最初はよくわからずがむしゃらに青年会議所運動を行って参りましたが、ある時、自分が1年1年違うステージに立っていること、そして、そこから見た景色というのは毎年新しい景色であるということに気がつきました。そのステージに立った者にしかわからない景色が存在し、ステージが終わるとともに自分自身で成長している実感を得ることができるのだと感じてきました。武蔵野の「明るい豊かな社会の実現」には、今私たちの成長が不可欠であり、青年会議所の三信条「修練」「奉仕」「友情」をもとに個人が積極的に青年会議所運動を行い、青年として自分自身が成長することが必要なのです。人財はまちづくりを通じて成長する、その過程として、本年度は次に掲げるような課題に焦点をあてて成長につなげて参りたいと思います。

■地域を取り巻く環境

・頻発する災害や危機管理

 東日本大震災や熊本地震、そして竜巻被害に九州北部豪雨災害など、近年、日本各地で災害が頻発しております。日本はあらゆる地域で災害の可能性があり、どこにいても何らかの災害に被災する可能性があります。東京においては、首都直下地震をはじめ多くの災害に対するリスクを抱えています。日頃より防災・減災の意識を高め、万が一に備えておくことが必要です。また、近隣諸国の台頭、軍事力の増強による脅威など、諸外国に対する危機感も常に気に留めておかなくてはなりません。

 この武蔵野も例外ではなく、災害や危機に対してより強いまちづくりと、地域諸団体との連携を常日頃から深め、非常時に備え準備をしておく必要があります。昨年、私たちは武蔵野市民社会福祉協議会様との包括提携を結び、万が一に備えるための新たな一歩を踏み出しました。災害や危機に対する体制を強化し、有事を想定した準備をしてまいります。

・ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックに向けて

 2019年ラグビーワールドカップ日本開催、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックも目前に迫ってきました。世界中から東京へと注目が集まります。中でも、武蔵野市はオリンピック・パラリンピックにおいて、ルーマニアのホストタウンとしての取り組みを行っており、海外からのインバウンドが見込まれます。武蔵野は都心からの交通の便もよく、著名人が昔から多く住むまちであったり、活発な商業地域、スポーツ、文学、音楽やアニメ、緑豊かな自然とまちの調和など、多くの魅力があります。これを機に武蔵野の魅力を国内外へと発信し、諸大会が終わったあともあらゆる人々を武蔵野へ引き付けるチャンスであります。行政、市内各諸団体とともに諸大会後を見据えた事業を行います。

・少子高齢化社会と子育て支援

 都市部の特徴である待機児童問題をはじめとする子育て問題は、今後の日本を考えていく上で避けては通れません。人口減少は経済に及ぼす影響も大きく、国力の低下につながる問題です。今の日本の人口構造はいわゆる逆三角形型であり、少ない労働年齢人口で高齢者を支える時代に突入しています。2025年には人口の1/3が65歳以上の「超高齢社会」を迎えるとされており、先進国の中でも群を抜いて突き進んでいます。

 人口減少に歯止めをかけ、出生率をあげることは非常に重要です。そのためには子育て支援はとても重要だと考えます。2016年の日本の合計特殊出生率は1.44、東京都では1.24、武蔵野市は1.20であり、武蔵野市は平均を下回っています。人口を維持するための合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子どもの数)は2.08と言われています。フランスは昔から人口減少に悩んでいる国ですが、様々な出産育児の環境の整備に取り組み、子育て支援に取り組んできた結果、2012年では出生率は2.01となりました。しかしながら、ここまでの数字に達するにはとても長い年月と苦労がありました。武蔵野市は近隣に比べ大型マンション等の建設による再開発の影響もあって人口が増加し、出生率も増加はしてきていますが、出生率は東京都の市部では2番目に低い水準です。2015年4月から始まった子ども・子育て支援新制度の取組もスタートしています。子育てのしやすい環境を整え、いかにして少子高齢社会を乗り越えていくのか、子育て世代である私たちが考えなくてはならない問題です。

・技術進化における経済環境の変化

 ここ近年、ITやIoT の進化はめざましく、私たちの生活や仕事に大いに役立てられています。そしてさらにAIの急速的進化が、ますます我々の仕事や生活に大きな影響を与えようとしています。近い将来、このAIが既存の仕事にとって変わる時代が訪れ、これまでの仕事がこれまでと大きく変化することは間違いないでしょう。人口の減少が続く中で労働力の補填的な役割としても期待されている一方、AIはいずれ人類にまで影響を及ぼすとまで言われています。今ある仕事や生活、そして何よりもこれから社会に出ていく子どもたちが成長していく上でどのような未来を描いていけるのか、青年経済人である私たちが、時代の変化にどのように応じていかなくてはならないのかを考えておく必要があります。

■子どもを育てる

 子どもは地域の宝です。この武蔵野の将来を担っていくのは子どもたちです。より優れた人間性を備えた大人になり、この武蔵野の発展に貢献してもらえるような大人になってもらいたい、これは地域の願いであり、地域で育てなくてはなりません。

 文部科学省の調査によると現在の子どもたちには、思いやりの心や迷惑をかけないという気持ち、生命や人権尊重の心、自制心や規範意識の低下、人間関係を形成する力の低下などの傾向が指摘されています。

 その原因は、インターネット社会の加速的進展や、核家族化や少子化、厳しい家庭環境、地域社会との関係の希薄化など多岐にわたるとされています。そして何よりもそれ以前に、私たち大人のモラルの低下や子どもに接する姿勢が問われているような指摘もあります。文部科学省は、「現在の子どもたちは、昔の子どもたちに比べて一層、心の成長を支える基盤となる環境が悪化していると言わざるをえない。言い換えれば、“子どもを大切に"という言葉が声高に叫ばれる反面、利己主義的な大人社会の風潮が進展してきている状況が、今まさに、我が国が直面している現状である」としています。社会環境の変化を考える前に、まずは私たち大人が率先して子どもの手本となるような姿勢を見せなくてはなりません。とはいえ、利己主義が蔓延しているといわれる中でも、東日本大震災や熊本地震の際には、日本人の古くから持つ人を思いやる心や、利他の精神が見られ、世界中から賞賛されたのは記憶に新しいことです。日本人には潜在的にそのような精神が根付いているのです。災害時だけではなく、普段からもそうした精神を思い起こすことにより、社会環境も必然と変化し、子どもたちへ大人の大きな背中を見せることができると考えます。そのためには、子どもたちを育成するとともに大人も一緒に成長をしなくてはなりません。

 まずは、本年もわんぱく相撲武蔵野場所を開催し、礼節や相手を思いやる精神を学びます。地域で子どもを育てるという方針のもと、本年度も地域の方々と協力し、大人も子どもたちを見守る立場として成長を図りながら子どもの健全育成を図ります。

 またこの他にも、精神教育の一つとしてスポーツを通じた事業を行います。スポーツは達成感、協調性、連帯感、リーダーシップ、社会性などを育みます。現日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザーである川淵三郎氏は、かつて「トップレべルの選手こそ、グッド・ルーザーであれ」という言葉を残しています。どのスポーツでも世界トップレべルの選手は、勝っても負けても相手を思いやることができる、つまり負けることや仲間の失敗を許す気持ちや、相手の勝利を受け入れて祝福できるような大きな包容力を持っています。このような精神はグッド・ルーザーの精神と呼ばれていますが、この精神に基づきスポーツを通じて子どもたちの健全育成の一助となるような事業を行います。

■新しい仲間と個人の成長

 青年会議所は運動発信をする団体ですが、その活動は40歳までと限られています。40歳まで青年会議所で多くを学び、卒業後は地域で活躍をすることが求められます。定年があるということは、団体として常にその時代の若い力を発揮することができる一方、会員の入れ替わりも早いということです。

 数は力であり、我々の運動をより大きく発信するには、会員数の維持・増加が必須であり、常に新しい仲間を求めていかなくてはなりません。少子高齢化も進み、年々若年層が少なくなる中で、団体として規模を維持・成長させることは青年会議所運動にとって必須課題であります。

 冒頭でも触れましたが、近年、武蔵野青年会議所は多くの仲間を増やしてきました。今の武蔵野青年会議所は、新しい会員が大勢を占めています。青年会議所はまちづくりとひとづくりの両立が必要です。まちづくりを通じて個人が成長し、個人の成長は更なるまちづくりにつながる、このようなスパイラルこそが明るい豊かな社会の実現にむけての道筋であると確信します。個人の成長には多少の負荷は必要です。まずはどんな形であれ目の前の機会に対し、まず一歩を踏み出すことが大切であり、そのことで様々な経験をし、視野が広がることで己の成長を感じることができるのです。

■武蔵野青年会議所の価値の確立

 私たち武蔵野青年会議所はかつて「行財政改革運動」を全国にまで広め、社会に影響を与えた歴史がありました。しかしながら近年においては、これまでの事業アンケート等の結果を見ると、武蔵野青年会議所は思ったよりも認知されていないという現実がありました。私たちの運動をさらに発展させるには地域により必要とされる団体となり、認知していただかなくてはなりません。武蔵野青年会議所のブランディングを図り、地域における私たちの運動や組織の認知度を高めていく必要があるのです。

■青年会議所と公益法人

 公益法人制度の改正により、公益社団法人格を取得して5年が経過しました。青年会議所は常にその時代を捉えた問題提起をし、持続可能な解決策を発信する団体です。そのためには法人格により私たちの運動が妨げられることはあってはなりません。青年会議所が運動を展開するのに最善の組織形態でなくてはならないのです。ここ数年間、武蔵野青年会議所は公益社団法人としての青年会議所を検証してきました。その検証をもとに青年会議所と公益法人とのあり方について今一度見つめなおして考えてみる必要があります。

■おわりに

 武蔵野青年会議所は昨年45周年を迎えました。本年は、半世紀である50周年に向けて踏み出す最初の一年です。先輩諸兄が懸命に築かれてきた45年の歴史と地域との繋がりを胸に刻み、今後50周年、100周年へ向けてより地域に必要とされる魅力ある団体として永続することが私たち武蔵野青年会議所にとっての使命であります。自ら一歩踏み出し、成長とともに明るい豊かな社会の実現へむけて駆け抜けてまいります。

2018年度スローガン

「成長への一歩」
〜その一歩が己とまちを変える〜

2018年度基本理念

率先して行動する思いやりのある JAYCEE へ

2018年度基本方針

  1. 地域の諸問題の解決を図る運動発信
  2. 自ら機会を掴む率先した行動
  3. 利他の精神に基づいた意識的行動
  4. 武蔵野青年会議所の価値を高める組織運営

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